パキスタンの紙芝居 「ミラクルバッグのキセキ」
私たちは、かるたに加えて、紙芝居も制作することとしました。
日本とパキスタンをつなぐ活動をされている人、されてきた人を題材にしたいと考えていたところ、
日本・パキスタン協会の方から現地で今も活躍されている高垣絵里のことを教えていただきました。
高垣絵里さんは国際的なコンサルティングをされている中、パキスタンに駐在し、それがきっかけとなり現地で新しい事業を起こされました。
ミラクルバッグの製品化やペーパービーズによるアクセサリーはパキスタンの女性たちに新たな活躍の領域を生み出しました。
これらの商品の普及のために、パキスタンに駐在する各国の大使館の方々とも積極的に交流を行い、
とてもうらやましい人の輪をつくりあげています。
実際に高垣さんにお会いして、紙芝居でも登場する高垣さんの笑顔が、皆さんをひきつけていると思いました。
制作は紙芝居劇団どろんこ座です。杉並・阿佐ヶ谷で発祥のオリジナル紙芝居劇団です。制作・口演はもちろんのこと歌までつくってのパフォーマンスです。
今回も「♬ くるくるくるくるリサイクル~~」と一度聞いたら耳から離れない楽しい曲をつくってくれました。
杉並区内の高円寺学園、和泉学園でも口演いたしました。
★紙芝居「ミラクルバッグのキセキ」口演ムービーはこちら(外部リンク)
「お~いみんな!聞いてくれよ~!この海の中を見てよ!プラスチックのゴミでいっぱいだ!!
このままでは地球がどうかなっちゃうよ~~!!
なんとかしてくれよ~~!!」
今、海の中はものすごく汚れています。プラスチックのゴミが海の中で分解されないまま、半永久的にただよっているんです。
そのゴミが波などによって細かくなって、5ミリ以下のちいさな粒のようになったものを、マイクロプラスチックと言います。
このマイクロプラスチックが、海の中でどんどん有害な物質とくっついて、さらに有害なものになっていくんです。
これが今、大きな環境問題になっています。
今日は日本から遠く離れたパキスタンで、このプラスチックゴミの問題に取り組んでいる、日本人女性の高垣絵里さんの話を紹介しようと思います。
パキスタンは、インドとアフガニスタンなどにはさまれた、日本の約2倍の 大きさの国で、世界でも人口の多い国のひとつなんです。
東京オリンピック・パラリンピックでは、杉並区はパキスタンのホストタウンになっているんです。
パキスタンの首都のイスラマバードは、緑が豊かな美しい街なんですけど、少し離れたところに行くと、すごい量のゴミがあちこちに捨てられていていました。
高垣さんはそんなゴミだらけの川を見て思いました。
「このレジ袋とかのプラスチックゴミが、インダス川を通って海に流れていく。そして海の中で細かくなって、マイクロプラスチックになる・・・
それを魚がエサと間違えて食べる、その魚を人間が食べる・・・
考えただけでもぞっとするわ。」
パキスタンの国内を流れるインダス川は、プラスチックゴミの 排出量が、中国の長江に続いて世界第2位の川だったんです。 そこで高垣さんは、プラスチックゴミのリサイクルに取り組むことにしました。
「それにしても、すごい数のレジ袋のゴミ。このパキスタンだけでも年間約550億枚もあるんですって。これをなんとかしないと・・・そうだ!!このレジ袋を使ってエコバッグを作ろう!」
レジ袋からどうやってエコバッグを作るかというと、まずレジ袋を輪切りにして、 それをつなぎあわせてヒモのようにします。
そのヒモを編み物みたいに編んで、バッグを作るというわけなんです。
「あと、前から気になってたんだけど、イベントとかに使われるバナー。あれも使い終わったら、みんな捨ててしまうのよね。あれもエコバッグに なるんじゃないかな!」
バナーというのは、横断幕のことで、パキスタンではイベントなどの時の舞台の背景幕として、よく使われるものだそうです。
バナーは生地が厚くて頑丈だから、バッグにはもってこいだったんです。
それにカラフルなデザインのものが多いから、とってもおしゃれなバッグができるんです。
次に高垣さんは、このバッグの名前を考えることにしました。
「・・・そういえば国連環境計画のレポートに『プラスチックはミラクル 素材だ。問題は今後我々が、どうやってこのミラクル素材を使っていくかだ』というような言葉があったわ。
そうだ!このバッグ、ミラクルバッグって名前にしよう!!」
さて、次はこのバッグをどう発表するかです。そこで高垣さんは、おもしろいアイディアを思いつきました。
「そうだ!このミラクルバッグのファッションショーをするのはどうかな! いろんな人にモデルになってもらってファッションショーをすれば、とてもいい宣伝になると思うわ!」
高垣さんは、地球環境を考えるイベント「アースデー」で、このファッションショーを開催しました。
国際機関の人や、各国の外交官がモデルになってランウェイを歩いたんです。 このイベントの様子は新聞やテレビにとりあげられ、日本でも知られるようになりました。
そのおかげで多くの人が、ミラクルバッグのことを知るようになりました。
今では大使館やホテルなどから、バナーの提供を受けられるようになったり、大企業で社員の人に使用してもらったりすることで、この活動はどんどん広がりをみせるようになったんです。
バッグの他にも、ポンチョや小さなポーチなども作られるようになりました。
またこの活動が、パキスタンの女性の仕事となり現金収入のひとつになっているんです。
つまりこの活動が、女性の社会進出に大きく貢献しているというわけです。
ミラクルバッグはその名のとおり、本当にいろんな奇跡をおこしているんです。
高垣さんは、いつもこう言っています。
「自分が地球を汚染する側である、という自覚をもつことが大切なんです。一人一人の意識が変われば、いつかきっときれいな海が、きれいな地球が戻ってくると、私は信じています。
「みんなが地球のことを考えて生活すれば、この海がどんどんきれいになって、 また住みやすい海になる! そんな日をぼくたちは待っているよ!
紙芝居劇団 どろんこ座